『鳥』の感想文作者紹介大江健三郎は1935年に愛媛県に生まれた。1959年東大仏文科から卒業した。彼は3回に中国に訪問した。彼は社会問題と政治問題を回避しない、日本政治の腐敗を鋭く批判し、天皇制度を否定し、天皇から授与した勲章を断ることもあった。彼は文学の生命力は作品の深刻な社会意味にあると唱える。1955年、彼はサルトルの影響下に創作活動を始めた。1957年、「東京大学新聞」で「奇妙な仕事」を発表した、さらに、この新聞の五月際賞を受賞した。同じ年、「死者の奢り」、「他人の足」など短編小説を順次に発表した。彼は学生作家として頭角を現し始めた。1958年、彼の短編小説「飼育」は芥川賞を受賞した、新しい文学の旗手となった。同年、彼も処女長編小説「芽むしり仔撃ち」を発表した。1959年、都会の若者の内面の閉塞状況を描いた「われらの時代」、「われらの性の世界」を発表した、大波乱を呼んで、本人も様々な批評を浴びた。1960年、「青年の汚名」「遅れてきた青年」など長編を次々に発表した。1964年、「個人的な体験」で一つのピークに達した。それから、1967年の「万延元年のフットボール」で想像力の極北を示し、1968年の「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」、1976年の「洪水は我が魂に及び」と「ピンチランー調査」と長編を書きついだ後、1979年の「同時代ゲーム」は神話的世界へと到達した。他にルポルタージュ1965年の「ヒロシマ•ノート」、1969年の「沖縄ノート」や1965年のエッセイ集「厳粛な網渡り」、1968年の「持続する志」、1972年の「鯨の死滅する日」などがある。1970年、アジア•アメリカ作家会議に参加、1974年日本アラブ文化連帯会議に参加など、活発な社会的活動をも示し、現代文学の代表的作家としての力量を示している。創作背景この小説は1958年8月に「別冊文春第65号」に発表され、のち新潮社から「大江健三郎全作品」が刊行された時、第二巻に「鳥」と改題されて収録された。大江健三郎の初期作品の一つである。この小説は世のいわゆるリアリズム小説ではなく、観念的な抽象小説であり、ここでの言語は著しく比喩性を帯びている。それは冒頭の鳥たちのイメージにだけでたちどころに了解される。固有名詞でなく「鳥たち」「彼」「男」「母親」という普通名詞が用いられているのもそのためである。これは紛れも無く、筆者の作り出した独自の世界である。あらすじこの「鳥」という短編小説の主人公は引きこもり青年である。彼は「現実」はすべて他人のにおいを根強くこびりつかせていると思うのに、他人と触れ合うことを拒んだ。彼は「鳥たち」が彼に属している、彼はどんな遠い国に行っても「鳥たち」が追って来ると思っている。「鳥たち」と一緒に暮らすために、彼は大学へ出席することをやめ、部屋に閉じこもっていた。ある日、一人の男の子が彼の部屋を訪れた。男は青年の鳥に興味を示し、青年も男は信頼できると思った。彼らは鳥に関することをたくさん話し合った、青年はとても楽しかった、真の知己を見つけ出したと思った。分かれるとき、男はこの部屋の外でも「鳥たち」が現れるか、実験してみたいといって、青年を自分の研究室に誘った。青年の母もそばで励まして、青年は同意した。母の思いつめた視線で家をでって、男の研究室に行った、そこは精神病院であることが分った。青年は病院で暴力を受けた、「鳥たち」を寄せようとした。しかし、「鳥たち」は普段のよういにすぐにやって来ない、長い時間がかかった、ごく存在感希薄な貧しい鳥が二羽ほど現れた。ずっと幸福をもたらす「鳥たち」は今度慰めるどころか、いらいらさせる屈辱感さえ呼び起こした。「鳥たち」のイメージが崩れ始めると、青年の精神も崩れた。虐待されたせいで、青年はもう少し死になった、最後、救急車で家に送った。お母さんは彼の様子えを見て、とても自責して、「鳥たち」のことを認めった。でも、青年は鳥の一切を彼の周りに感じなかった、「鳥たち」との生活はただ自分の幻影であることを意識した、その上、青年も少し幻影もないの生活に暮らしていくかどうかとのことを考え始めた。感想「秋の朝、数知れない鳥の羽ばたきが彼を目覚めさせた。彼の長々と横たわった体の周りに無数の鳥がびっしり翼を連れ合って、絶え間ない羽ばたきを続けている、彼の頬、彼の裸の胸、腹、腿の皮膚一面を、堅く細い鳥の足が震えを伝えながら覆っている」筆者は漸層的に鳥のイメージを積み重ね、不思議な存在感を盛り上げている。それは主人公の幻想、幻聴にほかならないが、主人公にとっては、幻想、幻聴ではなく、はっきり存在感としてあるものある。ここには安らか幸福な世界がある。こういう内的世界を鳥たちの比喩で描き出そうとしていることが誠にユニー